美容皮膚科(しみ・しわ・たるみ)

しみ・しわ・たるみの治療を行います。
女性の「きれいになりたい、美しくありたい」を応援します。

しみの治療

「しみ」は皮膚の色を左右するメラニン色素が過剰に蓄積し、斑点となって表れるものです。紫外線が皮膚にあたると、表皮の基底層にあるメラノサイト(色素細胞)内のメラノソームでメラニンが生成され、周囲のケラチノサイト(角化細胞)へと転送されていきます。通常メラニンは皮膚のターンオーバー(代謝)によって排出されるのですが、紫外線を浴び続けて大量のメラニンが生成されたり、皮膚のターンオーバーが正常に働いていなかったりすると、排出が追いつかなくなり「しみ」として表れます。
その他にもホルモンバランスの変化、ストレス・タバコなどの活性酸素、遺伝的要因、傷や虫刺されなどの皮膚の炎症などが原因として考えられています。

しみの治療

代表的な「しみ」と認識されるものとして「老人性色素斑(日光黒子)」、「脂漏性角化症」、「肝斑」、「後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)」、「雀卵斑(そばかす)」、「炎症後色素沈着」などがあり、実際にはこれらが混在して全体の「しみ」を形成していることも珍しくありません。

老人性色素斑

主に紫外線刺激により、メラノサイトが活性化するとともに数も増加し、メラニン色素を過剰に含有する異常なケラチノサイトが蓄積しています。中高年に多いですが、若年者に発症することもあり、男女差はあまりありません。平坦なものを「老人性色素斑」、隆起しているものを「脂漏性角化症」と呼びますが、基本的には同一疾患と考えられます。しみの特徴はしみと正常皮膚との境界が明瞭で、多発するしみの大きさが不揃い、隣接する複数のしみが不連続(つながっていない)、大きくなると盛り上がってくるなどがあります。

老人性色素斑
写真はイメージです

治療は、メラニン色素を過剰に含有する異常なケラチノサイトを破壊して物理的に除去することが有効で、レーザー治療(Qスイッチレーザー、ロングパルスレーザー、ピコ秒レーザーなど)や光治療(IPL:Intense Pulsed Light)が主に用いられます。メラニンに吸収されやすい500~1000nmの波長を用いることが多く、特に700nm前後の波長はヘモグロビンや水などへの余分な組織への吸収が抑えられるため、メラニン選択性に優れた治療が行えると言えます。

吸光度とレーザー波長

一方で、レーザー治療においては適切なフルエンス(照射強度)の設定が重要です。低いフルエンスではメラニン色素を過剰に含有する異常なケラチノサイトを破壊しきれず効果が劣り、逆にフルエンスが高すぎると衝撃波によって表皮が瞬時に剥離して白色化し(IWP: Immediate Whitening Phenomenon)、強いダメージが生じ長期にわたる炎症後色素沈着(PIH: PostInflammatory Hyperpigmentation)や色素脱失(白斑)の可能性があります。照射後は紫外線を避けるのはもちろんのこと乾燥を防ぐケアが必要です。

雀卵斑(そばかす)

学童期~思春期に発症するため、しみの中では最も発症が早いと言えます。遺伝的な要素の関与が指摘されており、メラニン合成の活性化によって表皮細胞のメラニン含有が増加しています。しみの特徴はしみと正常皮膚との境界が明瞭で、多発する数ミリ大のしみの大きさが揃っており、鼻を中心に両頬に広がり、隣接する複数のしみが連続していないなどです。老人性色素斑と異なり、こめかみの生え際にはしみがないことが多いです。

雀卵斑(そばかす)
写真はイメージです

治療は老人性色素斑と同様に、メラニンに吸収されやすい500~1000nmの波長を用いたレーザー治療(Qスイッチレーザー、ロングパルスレーザー、ピコ秒レーザーなど)や光治療(IPL:Intense Pulsed Light)が主に用いられます。日焼けした皮膚に照射すると炎症後色素沈着(PIH)を起こしやすいため注意が必要です。照射後も十分に紫外線を避ける必要があります。

肝斑

中年期の女性に多いですが、男性にもあらわれることがあります。肝斑が悪化する要因として紫外線、化粧品や洗顔などの機械的な刺激、女性ホルモン(妊娠やピルで悪化)、炎症、ストレスなどが言われていますが原因ははっきりとわかっていません。しみの特徴は両側の頬部に広がる逆三角形のびまん性(一面に広がった感じ)で、しみと正常皮膚との境界が明瞭でなく、隣接するしみどうしが必ず連続しているなどです。他のしみは通常、年単位の経過で目立ってくることが多いのに対して、肝斑は数カ月単位で悪化する場合があり、皮膚の炎症が関与していると考えられます。

肝斑
写真はイメージです

治療は、遮光して紫外線を徹底的に避けること、できるだけ摩擦を避けたスキンケアを行い、トラネキサム酸内服やメラニン合成を阻害するハイドロキノン外用、メラニン排泄を促進するトレチノイン外用などが用いられます。レーザー治療は原則として推奨されませんが、レーザートーニングとして経験上有効な場合もあるため賛否両論ある状況です。

後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)

真皮にあるメラノサイト(色素細胞)が活性化し、メラニン色素に富むしみをつくっている状態です。類似の先天性のものとして、太田母斑や伊藤母斑、蒙古斑、異所性蒙古斑があります。後天性の本疾患のしみは思春期から中年の女性に多く、両側の頬部に最も多く小斑状に現れますが、前額外側や鼻根部、下眼瞼にびまん性(一面に広がった感じ)で出ることもあります。しみの特徴はしみと正常皮膚との境界がやや明瞭でなく、雀卵斑よりやや大きめ(3~7mm)で大きさが揃っており、隣接する複数のしみが連続していないなどです。他の老人性色素斑や雀卵斑、肝斑などのしみが一緒に混在していることも珍しくなく、区別が難しいことも多いです。治療は真皮まで到達するQスイッチレーザーやピコ秒レーザーが選択され、光治療(IPL:Intense Pulsed Light)やロングパルスレーザーは推奨されません。

レーザーフェイシャル

当院では、最新の医療用レーザー機器のジェントルレーズプロ(GentleLase Pro)を導入しており、メラニン色素に鋭敏に反応する波長755nmのアレキサンドライトレーザーを全顔に低出力で照射することで、「シミ」「そばかす」「くすみ」「しわ・たるみ」「毛穴の開き」「ニキビ」などの皮膚のトラブルを改善する効果が期待できます。1~2ヵ月に1回程度の治療を3~5回受けて頂くと改善効果が期待できるため、継続的な治療が必要です。

GentleLase Pro(ジェントルレーズプロ)とは

レーザーの選択的熱作用により、長期的な減毛を目的としたレーザー機器として日本で初めて厚生労働省の薬事承認を取得(2016年, 医療機器番号:22800BZX00446000)し、許認可を受けた安全な医療機器として医療機関でのみ使用が認められています。
2020年に表在性の皮膚良性色素性疾患(しみ・そばかすなど)への適応が拡大され、レーザーフェイシャルとして日光性色素斑(老人性色素斑)、雀卵斑(そばかす)などのシミや肌のくすみ、黒ずみをマイルドに消していきます。冷却ガスを同時に噴射することで、レーザー照射による痛みや皮膚のダメージを抑えることができます。

GentleLase Pro(ジェントルレーズプロ)
レーザーフェイシャルの美容効果
①シミ、そばかす、くすみの除去による美白効果

シミの原因となる表皮(皮膚の浅い部分)の過剰なメラニン色素にレーザーの熱が吸収され、メラニン色素が分解されて老廃物として皮膚表面に浮き上がり最終的に剥がれ落ちることでシミやそばかす、くすみが除去されます。顔全体の美白効果が期待できます。

②小しわ、たるみなどの肌質の改善効果

真皮(皮膚の深部)まで到達したレーザーは熱エネルギーに変換され、軽い炎症を起こすことでコラーゲンの生成を促すことで、皮膚にキメやハリが出て小じわを取ったり、たるみを改善する効果があります。

③顔のうぶ毛の脱毛効果

産毛(うぶ毛)にもレーザーが作用するため、産毛の脱毛効果や毛穴の引き締め効果によりなめらかな肌質に変わることが期待できます。

ジェントルレーズプロによるレーザーフェイシャルの利点
1. 痛みが少なく、ダウンタイムがほとんどない

シミの治療でよく用いられるQスイッチアレキサンドライトレーザーやQスイッチルビーレーザーは、照射の衝撃波(Acoustic Shock Wave)が強いためかさぶた(痂疲)ができることが多く、治癒後も炎症性の色素沈着が数カ月続く場合があり、長期間のダウンタイム(ガーゼで覆わなければいけない、お化粧ができない等の日常生活に支障が出てしまう処置後の期間)が必要でした。一方、ジェントルレーズプロはマイルドな照射なので、クーリング後は普通にお化粧も可能です。
ジェントルレーズプロにはDCD(Dynamic Cooling Device)と呼ばれる冷却ガス噴射システムが採用されており、レーザー照射直前に冷却ガスを皮膚に噴射することで、施術後の痛みや赤み、腫れなどが起こりにくくなっています。

痛みが少なく、ダウンタイムがほとんどない

2. 照射スピードが速く、治療が短時間

照射スポットサイズが大きいため、照射スピードが速いことが特徴です。冷却ジェルなどを使用する必要もないため施術に必要な時間が大幅に短縮され、広範囲を短時間で治療でき、治療のストレスが軽減されます。

照射スピードが速く、治療が短時間

3. 美肌、脱毛の両方に効果的

レーザーはシミやそばかす、くすみの原因となる表皮のメラニン色素に作用して美白効果があるだけでなく、メラニン色素を多く含んでいる毛にも熱エネルギーとして作用します。毛の毛包や毛乳頭部、皮脂腺などに熱が拡散し、毛の組織が破壊されるため美肌と同時に脱毛効果も期待できます。

美肌、脱毛の両方に効果的
注意事項
■ ジェントルレーズプロによる治療が受けられないもしくは注意が必要な方

下記の病気や症状がある方は治療を受けられないことがありますので、あらかじめ医師にご相談ください。

  • ・光線過敏症(755nmの光に過敏)の方
  • ・光感受性を高める薬を内服または外用されている方
  • ・照射部位に未治療の開放創や感染創のある方(治療後には照射できます)
  • ・単純ヘルペスの活動病変のある方
  • ・照射部位に刺青やアートメイク、フィラー注入をされている方(安全のため、他院での美容医療の治療歴を担当者にお伝えください)
  • ・日焼け直後の方
  • ・未治療の肝斑のある方
  • ・てんかん発作の既往のある方
  • ・ケロイド、肥厚性瘢痕の体質の方
  • ・照射部位にがんがある方
  • ・免疫抑制剤やステロイド製剤を服用中の方や全身状態不良の方
■ 照射前の注意事項
日焼けの禁止

日焼けをした状態では、熱傷を生じる危険性が高くなるため照射をすることができません。日焼けをしないようにSPF 30以上の日焼け止めの使用や長袖、長ズボン等の着用で日焼けを予防してください。
※日焼けをしてしまった場合は、日焼けが落ち着いてからの照射となります。

皮膚の清浄

照射部位に日焼け止めや化粧品(クリーム、化粧水を含む)が残っていると、レーザーが化粧品の成分に反応して副作用が出る可能性があります。照射前には必ず落として頂きます。

■ 照射中の注意事項
  • ・照射中の痛みには個人差がありますが、通常はゴムで弾かれたような痛みがあります。痛みに弱い方や肌がデリケートな方は麻酔クリームを使用する場合もありますので御相談ください。
  • ・レーザーの光から目を保護するため、照射中はゴーグルをかけて頂きますので外さないようにお願いします。目を閉じた状態でも明るく光を感じることもありますが、影響はありません。
■ 照射後の注意事項
  • ・レーザー照射直後は皮膚全体に熱による赤み、腫れが出る場合があります。反応の程度によっては軟膏やクリームを処方しますので、医師の指示に従って塗布して下さい。赤み、腫れが落ち着いたらメイクはされても構いません。
  • ・レーザー照射部位は皮膚がデリケートな状態なのでこすったり、掻いたりしないでください。皮膚を傷つけることで色素沈着になる可能性があります。かゆみが強い場合はかゆみ止めのお薬をお出ししますので来院してください。
  • ・レーザー照射当日はシャワーのみで入浴は避けてください。
  • ・レーザー治療を継続している間の日焼けは禁止です。日常から遮光をおこなってください。
  • ・メラニンの濃い部分に強く反応した場合、軽度のかさぶた(痂疲)ができる可能性があります。照射後数日で剥がれてきますので、無理に剥がさずにそのまま自然に剥がれるのをお待ちください。気になる方はメイクなどでお隠しください。
  • ・シミの中に隠れている「肝斑」がある場合など、レーザー照射によって一過性にその部分の色素が濃くなる場合があります。その場合には状況に応じて、「肝斑」の治療もご提案致します。
  • ※患者様のシミのタイプ、体質、体調などによって効果は異なることから、治療回数や期間、改善の程度も患者様一人一人で違ってくることをあらかじめご了承ください。
■ 合併症について
毛嚢炎

レーザー照射により、毛穴に細菌が入って炎症を起こす毛嚢炎を起こすことがあります。

熱傷や凍傷

肌の色によっては軽い熱傷を起こすことがあります。日焼けされた場合に照射してしまうと熱傷のリスクが高くなります。また、冷却ガスを使用していますので、凍傷を生じることがあります。

硬毛化

ごくまれにレーザー照射後に毛が濃くなったり、硬くなったり、太くなったり、長くなったりといった症状「硬毛化」が起こることがあります。現在のところ確実な対処法が確立されていません。フェイスラインで多い傾向があります。これらの部位のレーザー脱毛はお勧めしておりません。

その他

痂皮形成、色素沈着、色素脱失、瘢痕形成、紫斑、紅斑、浮腫、掻痒感、毛孔一致性の炎症など

ジェントルレーズプロによる施術の流れ
①医師による診察、カウンセリング

照射前に担当医がシミや肌質、うぶ毛の診察をします。ご希望される状態を伺いながら、治療回数や併用療法など治療プランのご提案を致します。ご不明点や不安なことがあれば遠慮なくご質問ください。

②説明書・同意書記入、洗顔

治療内容や費用、照射中や照射前後の注意点などの詳細をご説明させて頂き、同意されましたら同意書にサインして頂きます。未成年の方の治療については親権者様の同意が必要になりますので、あらかじめ印刷してご記入の上、お持ち頂けるとスムーズなご案内が可能です。照射前に日焼け止めや化粧品(クリーム、化粧水を含む)を洗顔して落として頂きます。また、痛みに弱い方や不安な方は麻酔クリームを外用(塗布)しますのであらかじめご相談ください。

③照射(施術)

お肌の状態により出力を設定し、医師が照射していきます。

④アフターケア

照射後のお肌の状態の確認とクーリングを行い終了となります。必要な場合はお薬の処方を行います。施術後は基本的にはお化粧をしてお帰りになることができます。

ジェントルレーズプロによるレーザーフェイシャルの費用
顔全体(1回)¥3~5万円(税込み)
顔全体~首(1回)¥4~6万円(税込み)

※自費診療になりますので、健康保険は適応になりません。
※一部分の照射をご希望の方や費用についての御相談は、担当医にお尋ねください。

しわの治療

美容注射

①ボトックスビスタ®(アラガン社)

A型ボツリヌス毒素製剤(厚生労働省認可)を用いて額の横じわ、眉間のしわ、目尻のしわなどの治療を行います。日本美容外科学会による第7回全国美容医療実態調査(アンケート調査 回答率:約6% (317施設/5188施設))では2023年の1年間に全国で約69万件のボツリヌス菌毒素を用いた施術数の報告(アンケート調査なので全数把握は困難なため、実際は数倍以上施術されていると推定)があり、近年は一般的な治療法になってきていると言えます。

ボトックスビスタ
アラガン社の製品説明のページはこちら

https://www.allerganaestheticsadvantage.jp/product/botox-vista

●効果持続期間:3~6ヵ月程度(個人差があります)

●料金:2〜5万円(税込み)(自費診療になります。健康保険は適応になりません。注射箇所や注射量によって費用は異なりますので、詳しくは担当医に御相談ください)

●施術できない方

  • ・妊娠中または妊娠の可能性のある方
  • ・重症筋無力症や筋委縮性側索硬化症など神経筋接合部に障害がある方
  • ・過去にボトックス注射でアレルギーを起こしたことがある方

●施術後の注意点

  • ・効果が出てくるのに数日間を要します。
  • ・注入後に腫れや内出血が出る場合があります。特に処置は必要なく自然に軽快しますが、数日間持続する場合があります。
  • ・メイクや洗顔、洗髪、入浴は当日より可能です。濡らして痛みがある場合は2~3日様子をみてください。スポーツなどの運動も翌日から可能です。お顔の強めのマッサージなどは1~2週間は控えてください。
  • ・女性の方は、注射前に約2ヵ月間避妊してください。妊娠する可能性のある方は治療中および最終の注射後、2回の月経が過ぎるまでは避妊してください(胎児に悪影響を及ぼす可能性があるためです)。男性の方は、治療中および最終の注射後、3ヵ月間避妊してください。
②ジェムダームビスタ®ウルトラXC(アラガン社)

持続型ヒアルロン酸製剤(厚生労働省認可)を用いてほうれい線、マリオネットライン、あごのしわなどの治療を行います。

ジェムダームビスタ®ウルトラXC(アラガン社)
アラガン社の製品説明のページはこちら

https://www.allerganaestheticsadvantage.jp/product/ultra

●効果持続期間:約9ヵ月~1年程度(個人差があります)

●料金:4〜8万円(税込み)(自費診療になります。健康保険は適応になりません。注射箇所や注射量によって費用は異なりますので、詳しくは担当医に御相談ください)

●施術後の注意点

  • ・注入後に腫れや内出血が出る場合があります。特に処置は必要なく自然に軽快しますが、数日間持続する場合があります。
  • ・メイクや洗顔、洗髪、入浴は当日より可能です。濡らして痛みがある場合は2~3日様子をみてください。スポーツなどの運動も翌日から可能です。お顔の強めのマッサージなどは1~2週間は控えてください。
  • ・非常に稀ですが、注射直後あるいは帰宅後に注射したところや注射したところから離れたお鼻や目もとなどに激しい痛みが出る場合があります。この場合は、血液の循環不全の可能性がありますのでクリニックに御連絡ください。